第141 「審判とレフェリー」

 先日の世界剣道選手権大会で信じられないことがありました。
試合中、ある国の選手との審判の判定に、会場の一部から
ブーイングがおきたことです。そして試合者も不当に時間稼ぎをしたり
アピールをしたり、まともに礼もしないような行為が見られました。
日本では、まずありえないことです。

 サッカーやバスケットボールではありがちなことですが
これは剣道ではあってはならないことです。どこの国の選手でさえ、
剣道には礼節というものがあることは、まず一番初めに教わることなのです。
そして、殆どの国ではこういったことは、時には日本以上に
重んじられ、価値をおかれていることなのです。

 こんなことすら教えない指導者が海外で増えたとしたら、
こんなこともわからない人たちが指導者になったら、それこそ
剣道はただのスポーツになってしまいます。

 剣道の審判は単なるレフェリーではありません。多くの場合は
経験をつんだ剣士であり、その判定によって、その人の剣士としての
考え方が見られるのです。つまり、ただ早く軽く当たっただけの打突や
理に即さない打突を認めた場合、そういう剣道を認め、目指していると
判断されるということになります。

 もちろん、試合者のレベルによってある程度許容範囲を
広げることはあり、その辺の加減もまた審判として
非常に難しいところです。

 たとえば、私がある試合の審判をした時に、試合後八段の先生から
指導を受けたことがあります。

 私は相手が完全に防御ができない体制、その場合では、
相手が両手を挙げて防ごうとした、そのタイミングも間合も残心も
バッチリだった胴への打突に旗をあげました。しかし、先生の
ポイントはそこではなかったのです。
「上段からの攻撃であれば刀の場合は切り落とす技であるから
あの状態から竹刀を水平に廻して斬った場合の打突は認めるべきではない」
つまり、刀の技として出来ない技術の打突は認めるべきではない
ということなのです。

 概念の問題なので、その考え方に賛成するかどうかは別にして、
このように剣道の審判は非常に難しく、なおかつあれだけ速い打ち込みを
見逃さない目も必要で、それ以上のものが要求されます。

 ですから、判定として当たった当たらない以上のものがあり
またそれも剣道の難しいところでもあり、面白いところでもあるはずのですが
それに関して判定を不満としてブーイングをすると言うことは、
無礼も甚だしい行為のです。

 たとえ審判が判定を間違えたとしても、おそらくそれをもっとも
恥じているのは審判自身です。角度的には一瞬見えないこともありますし
それを音で判定することもあります。そういうことがないように
上級者、高段者はは講習を受け、審判としての訓練もうけています。

 世界大会などでは、正直「あ、今のは審判が取れなかったな」
という場面もあります。しかし、それはあくまでもちゃんと両試合者を
公平に見た上でということです。

 それに対して、ブーイングなどで判定に不満を表して
判定を覆そうなどというのは言語道断も甚だしいところです。

 こういった意味で、剣道がオリンピック競技となれば、そこには
当然お金や国益が絡んでくる国もありますから、いかに試合に勝つか
いかに有利にするか、ということに重きをおかれるようになり
すると競技自体も変わってきますし、審判基準も当然変わることになります。
観客も当然剣道を知らない人たちが見ることになりますから、
なんで当たったのに旗が上がらないんだ、ということになれば
ブーイングもおきるでしょう。

 そうなった時には、剣道は剣道としての価値を失うことになります。
一部のブーイングをした観客が選手や剣士ではなかったことを心から祈ります。

 余談ですが、私はどんなスポーツの試合ですら、私は相手にチームに対する
ブーイングは嫌いですし、反則行為や不公平な判定が度々起こるような
スポーツは、成熟度が低いか、その審判体系に不備があると思っています。

 審判が見てなければ相手のユニフォームを引っ張ったり、
当たっていないのにファウルされたかのような動作をしたり、
こんなものが紳士のスポーツと呼べるでしょうか。
コーチたちはそういうサッカーを目指しなさい(あ、言っちゃった:笑)
と、小さい子供たちに指導するのでしょうか。

 好きでよく観るスポーツだけに、あえて批判してしまいましたが、
あ、柔道で試合終わって礼をする前にガッツポーズするのオカシイですよね。
フェンシングでもよくやりますけど、フェンシングにも騎士道があるから
あれも違和感があるなあ..ただ西洋のものだから感覚が違うのかも知れませんね。

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