第145号 「折れた竹刀の利用法」

 西オーストラリアの気候は春と秋があっと言う間で、
とにかく雨の多い冬以外は乾燥しています。
 したがって竹製品である竹刀もちょっと手入れを怠ると
すぐに割れてしまいます。

 あまりお勧めはできないのですが、多くの人は
壊れた竹刀を一度バラして、まだ丈夫な竹だけを
次の壊れた竹刀の竹の差し替えようにとっておきます。

 ただし、これは同じ形で長さの竹刀でなければ
うまくいきませんので、普通竹刀は数本同じものを
まとめて買うのが一般的です。

 何が悪いのかというと、まずはきちんと組めなければ
安全上の問題があるということ。
そして、さらに一番大きい問題は耐久性です。

 例えば下側の竹が割れてしまったので交換するとします。
すると、その時には全く新しい竹刀を分解して、そこから
とった竹で差し替えるか、同じように下側に使われていた
竹をつかわなければなりません。

 また、このときに
「相手にあたる部分はちょっと傷んできたから
ひっくり返して使おう」
なんてきれいな方を下にして使おうもんなら
大抵数回打っただけで折れてしまいます。
それはなぜでしょう。

 竹は硬い表面を持ちながら柔軟性に富んだ素材です。
竹刀で叩くということは、竹刀の竹に一定方向から
力がかかる訳で、つまりは竹刀が目標にあたった瞬間は
目標を軸として竹刀の先が大きく下にたわむことになり
これを繰り返すというのは、何度も一定方向に竹を
曲げているのと同じになります。

 ですから、既に繊維が圧力を受けて微妙に
曲がっているわけで、ここに反対側から強い圧力をかけると
どうなるか。当然ながらポッキリ折れるわけです。
本当は時々火であぶったり手で力を加えて
少し元に戻す方がいいそうなんですけど
素人がやると竹刀を焦がしてしまったり、無理に曲げて
折ってしまったりするので、あまりお勧めしません。

 さて、こうして交換したあとの折れた竹はどうするか?

 実は意外と利用法がないんですけど、やっぱりいい竹なんで
何かに使えればなあと思っています。
 私はよく竹刀をを折ってしまう方なので
たまっていく壊れた竹をみてもったいないなあと。

 私は削って竹とんぼ、ペーパーナイフ、刀の目釘
を作ったり、飾り用のミニ竹刀を作ったり
子供の為に弓矢を作ったりしますが
他にも何か画期的な、いい利用法を思いついたら
お知らせください。

第122号 「買っちゃった」

「あ、俺クリスマスプレゼントいらないから」
「何言ってんのよ、もう買っちゃったわよ」

 夫婦で交わされた会話の真意とは...

 それは、私が既に自分にクリスマスプレゼントを、
内緒で勝手に衝動買いしてしまったからです。

 大したもんじゃありません。竹刀が壊れたので
インターネットで竹刀をまとめ買いしたんですが、
たまたまクリスマスセールで甲手がバーゲンだったので、
つい買い物かごへ...。

 それから、しゃれた鍔止めが安かったので、何かの
ギフトか景品にしよう、と数個まとめて買いましたが
そこには当然、自分で使う分も含まれています。
ネットショッピングは本当に危険です。(笑) 

 さて、この数年で新製品が、以前には考えられなかった
価格で販売されるようになりました。友人には防具屋でも
始めるのかと言われるくらい防具のセットが自宅にあります。
と言っても中古の頂き物か安物ばかりですが。

 自分の古い防具、父親が使っていたすりきれた古い防具、
先生のお古の防具、それと、オーダーメイドで作った
試合用とよそ行き用、それに安い普段使い用、その上に先生に
頂いたすごく古いもので、いつか修理して使おうと思っている
職人が作った、高かった防具...。(それと子供たちの防具に
子供のクラブの貸し出し用の防具、修理する防具もアリ。)

 これ以上はあまり必要ないとわかっていながら、
それでも、インターネットのサイトなどを見ていると、

「お、1分5厘の手刺しの鹿革の面がこんな値段で!」
「あ、総刺しの2分刺しの甲手も使いやすそうだなあ」
「生地胴は最近けっこうみんな使ってるから、古風の
編み竹胴とかも変わってていいなあ。」

 もうキリがありません。

 色即是空、空即是色。所詮この世は刹那、物欲など
空しいものとわかっていながら、やはり悲しいかな、
人間は生まれた時から欲のかたまり。

 こればっかりは、修行しても修行しても打ち破る事が
できない煩悩の一つでございます。

 本当は、本当に良い防具がひとつ、やや使い古した
もう一つ良いものが一つ。そして甲手がもう一つあれば
それで十分なんだそうですが、残念ながら本当いい防具は
まだ持っておりません。

 だから、次こそは本当に良い防具を買おうと思うんですが
やっぱり許可でないだろうなあ...。

 ちなみに、本当に高い防具は100万円ぐらいするものも
あるそうですが、今は20万円くらい払えばオーダーメイドで
修理しながら何十年も使える十分良い物が入手できます。

 もちろん、十万円しない大人用の防具でも十分長く使える
ものも沢山ありますが、やや違いがあります。それでは何が
違うかといえば、もちろん使い心地なんですが、その使い
心地を求める為の素材の違い、工程の手間、国産の職人か、
海外の工場かなどなどが違ってきます。

 こういう話を書いていると、なんとなくオーダーメイドの
スーツの話をしているようですが、感覚的には近いものが
あるでしょう。

 もっとも、それより腕前を上げるのが先なんですけどね。
いくらお金持ちだからといって、高校生が胴だけで何十万円もする
鮫革を張った胴をつけていたら、普通は周りから「ふざけるな」と
言われます。剣道の防具は、成金のボンボンが親にフェラーリ
買ってもらうのとは、ちょっと意味が違うのです。

「そんな高いスーツ着るなら、それに見合う仕事をしろ!」
「そんな高い防具着けるなら、それに見合う実力をつけろ!」

あー、耳が痛い。

第81回 面を修理してみました

 面の頭の上から肩にかけて、布の厚くなっている部分を
「面布団」といいます。刺し子になっていて、安いものは
ミシンをつかってあります。やや高いものは多くが手縫いです。
 目が細かくなると耐久性も上がりますが、手間もかかり、
糸も多く使うので値段も上がります。

 この面布団ですが、オーダーメイドにすれば長さも
指定出来るのですが。規格品は大抵長さが決まっています。
一般的な長さに作ってありますから、時々体に合わない
こともあるわけです。子供用の面はこの部分もちゃんと短く
作ってあります。しかし、子供の体格によっては、
規格品でも長いことがあります。

 低学年の子供の場合、特に新しい面はまだ面布団が固いので、
この部分が長すぎたりすると、思うように腕が上がらないことが
あります。(ですから、本当は小さい子供は、ある程度古くて
柔らなくなったお古の防具がいいのですが。)

 で、我が家も子供の面の左右に広がっている部分が
体と比較して長すぎる感じがしましたので、自分で修理してみました。
 これが手差しの何万円もする面であれば、当然剣道具屋さんに
修理をお願いするわけですが、まあ安い防具ですから、どうせ作りも
複雑ではないだろうと、安易な気持ちで挑戦してみたわけです。
 日本に修理に出したら、おそらく修理代の方が面より確実に高く
なってしまいますからね。


 さて、まずは面布団の横の部分のへり革を必要分だけはずしました。
(再利用の予定なのでこのへり革は切らずにとっておきます。)
ちなみに値段の高い手差しの面の場合は、縁が袋縫いになっています。
こちらの方が手間がかかるので高いそうです。

 こうしてへり革をはずすと、面布団の断面が見えてきます。普段は
なかなか見ることが出来ませんから、なるほどー、などと唸りながら
じっくりと観察します。現在、安い面は合成繊維のフェルトで、値段が
上がるにしたがって、違う種類のフェルトが層になっていきます。
それを表に厚地の綿を使い、鹿革や牛革、または人工皮革で
補強しています。

 ちなみに最も高い防具には羊毛などの獣毛で作られた古代緋毛氈
(ひもうせん・お茶の席やお寺などで使う和風のカーペット)や
大昔の軍隊毛布などが良いそうで、これに真綿を重ねて作るそうです。
これが最も柔らかく耐久性があるそうです。今では段々良質の材料も
少なくなっているそうですが、思い返せば、昔はどんな子供の防具も
結構いい値段したのは、全て防具は手作りだったからなんですね。
(大人のそこそこの品質の手差し防具が10万円代で買えることも
ありませんでした。)

 それでは、次の工程です。思い切って鋏で端を10センチほど
切りとります。もちろん、あまりに短いと失敗ですので、前もって
慎重に長さを決めておきます。この綿布団は厚いので、当然、普通の
工作用鋏では切れません。私が使用したのは、トタンなど薄い鉄板を
切る鋏です。

 さあ、それでは縁側の取り付けです。安いものは全てミシン仕立て
なので、時間節約の為にミシンを使って...。できません。(泣)
厚すぎてうまくミシンの針が通らないのです。もうはじめてしまった以上
仕方がないので、可能なところはミシンを使って、あとは手縫いです。
 革用の三角針を使って細かく縫い付けていきます。本当は太い木綿糸
を使うのですが、ここはあまりこだわらず、鋏でなければ切れない、
ナイロン丈夫な太い糸を使うことにしました。稽古中に崩壊しては
元も子もないので、しっかりと縫い付けていきます。

 私も普段は仕事の準備があります。それが夜中に全部終わってからの
作業になりましたので、終了したのは結局明け方でした。
子供の防具修理の為にほぼ徹夜です。普段はめったにかけない
メガネをかけての作業でも目がかすみます。

「父さんが夜なべして面布団なおしてくれた...。」

 みなさん泣けますか。私には泣けます。違う意味で。
うひゃー、疲れた。

番外 防具の手入れについて

剣道防具の手入れに関して


 そろそろ冬も終わりに近づき、晴れた日には汗ばむような季節がやって
まいりました。汗をかいた防具や剣道着は、放置しておくと雑菌が繁殖し、
臭い匂いを発します。以前から剣道の防具が臭いといわれていた原因はこれで
手入れを怠ると防具も長持ちせず、不快なまま稽古を行うことになります。

 しかし、逆にちゃんと手入れと修理をすれば末永く使うことが出来ます。
 以下は簡単な剣道具の手入れ方法です。少しの時間の作業で済みますので
ぜひ稽古の後にご自宅で行ってください。防具袋に入れっぱなしが一番良くありません。

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 面の手入れ

 1.稽古の後に、塗れたタオルで顔に直接触れる顎や耳の部分を
   中心に内側を拭きます。(夏場は外側に汗の塩分が固まる場合も
   ありますので、これもきれいに拭いてください)
 2.乾いたタオルで水分をふき取ります。
 3.ユーカリオイルを水で薄めたものや、無臭かつ安全で殺菌作用の
   ある薬品を内側にスプレーします。面金にかかったら直ちに拭いてください。
   (ファブリーズなどふつうの消臭剤はおすすめしません。)
 4.陰干しにします。(直射日光厳禁)

 籠手の手入れ

 1.稽古の後に、塗れたタオルで内側全部を拭きます。
 2.乾いたタオルで水分をふき取ります。
 3.殺菌作用のあるものなど、専用のものや自然の成分の物をスプレーします。
 4.手の形を整えて、陰干しにします。(直射日光厳禁)

 垂の手入れ

 破損を確認し垂の紐を平らに伸ばして全体にブラシをかけます。
 汗をかいてしめっていれば陰干しにします。

 胴の手入れ

 1.紐や破損を調べ、胸の部分に軽くブラシをかけてください。
 2.乾燥でひび割れなど起こしそうな場合は、革専用のオイルなどを
   少量布などにつけて軽く塗ってください。

 剣道着の手入れ

 汗をかいたらちゃんと洗ってください。
 稽古着は着け洗いでもいいです。最低、ぬるま湯で濯いで
 脱水するだけでいいです。裏返して陰干しでお願いします。

 袴の手入れ

 毎回陰干しをします。洗うときは畳んで洗濯ネットに入れて
 洗ってください。その時背板を内側に折こんでおくといいですよ。

第20回 子供向け剣道防具

 子供達が皆一生懸命取り組んでいるおかげで
そろそろ防具をつけて練習しても大丈夫なくらいになりました。
そこで、防具の購入が可能な方は購入をお願いしたいと思います。

 さて、防具に関してですが、防具の説明をします。
防具は4つの部分から成り立っています。
面、籠手(こて)、胴、垂(たれ)です。
それぞれの部分を簡単に説明します。

面..頭を保護します。上から肩にかかる部分は
  綿や毛布などを重ねて縫い合わせた物
  顔の面金(めんがね)はジュラルミンやチタン合金
  そして喉を守る部分が皮で縫い合わせてあります。

籠手..こぶしと手首を保護します。
   綿と皮などで出来ています。

胴...胸とお腹を保護します。

垂れ..膝から上の下半身を保護します。
   また、名前のついたゼッケンをつけます。

 値段は様々です。
一番安いものは外国製で約250米ドルくらいで
高いものは100万円位します。

 この値段の値段の違いは何処から来るかというと
素材と作りの手間や複雑さによります。

 まず、面、垂れ、籠手の布部分や
胴の胸の刺しにミシンを使っているか、
すべて職人が手で作っているかでちがいます。
4mmなどと表記してあるのはミシン
1分5厘などの表記してあるのは手刺しです。
手刺しの方が高いです。

 また高級品は縁や籠手の頭などに鹿革を使います。
通気性と吸水性、やわらかさに優れているからです。
次に牛革(ただ紺皮と書いてあるのはこれです)
人工皮革の順で価格が安くなります。
ただ、人工皮革が悪いかと言うとそんなことはなく
手入れの簡単さと丈夫さから子供の防具には
多く使われています。

 胴のお腹の部分の素材の違いです。
 ファイバー胴(圧縮した紙繊維で出来ています。)
樹脂胴(強化プラスチックです。ヤマト胴などはこれです。)
竹胴(竹の上に皮を張って漆を何重にも重ね塗っています。)

 ファイバー胴、樹脂胴は軽くて安く色も様々です。
竹胴は樹脂などより高いですが、衝撃の吸収に優れています。

 大まかに言えばこんなところです。
色は紺か白です。飾りの刺繍は選択できれば
好きなものを選んでかまいません。

 子供も大人もまずは安全性で選ぶ事です。
子供のうちは布団は6mmなど厚いものが良いでしょう。
手刺しなら3-2分ですがミシンで十分です。

 それから正しいサイズの防具を購入することです。
キツイと痛くなって稽古になりませんが
面などはあまり大きすぎるとかえって危険です。
成長が心配であれば1センチだけ大きいものを買って
パッドを入れて調整することもできます。

 さて、購入方法ですが、一番いいのは
実際に防具屋さんに行ってサイズを測って買うことです。
しかし、残念ながら日本と韓国にしか
剣道専門の防具屋はありません。

 インターネットでも購入可能ですが
サイズをちゃんと測らなければなりません。
ただし、比較的安価だと思います。

                       サイズの図り方はネットショップに詳しく出ていますが
おそらくキチンと図れるかどうか自信が無い方が
ほとんどだと思いますので、購入希望の方は申し出て下さい。
稽古後にサイズを測ります。

ご参考までに比較的安い子供用の防具を
あつかっているお店のHPをご紹介します。

海外のお店(海外発送可)